「接遇研修を“やらない”選択肢が生む組織のリスクを見つめなおす」

こんにちは。経営者や人事担当者の皆様に向けて、今回から全3回で「接遇研修をしないリスク」についてじっくりお伝えします。日々の業務に追われる中、「現場任せでも大丈夫なのでは?」「今まで特に大きな問題もなかったし…」と思っている方も多いかもしれません。しかし、実は“やらないリスク”は想像以上に大きく、見落としがちな落とし穴も潜んでいます。ぜひ、今一度自社の現場を思い浮かべながらお読みください。

1. 「接遇のばらつき」がもたらす“見えない損失”

まず、現場任せにすることで起こる最大の問題点は「接遇の質にばらつきが生まれること」です。スタッフの経験値や性格はさまざま。たまたま感じの良いスタッフがいればお客様から好印象を得られますが、そうでなければ逆に不満を持たれてしまうことも。

具体的に起きがちな問題

  • 顧客によって「この店は感じがいい」「あの人は冷たい」など評価が一貫しない
  • 特に初対面のお客様やお取引先にネガティブな印象を与える
  • 小さな違和感や残念な気持ちが、いつの間にかネット上の口コミへ

店舗や企業の「顔」となる接遇のばらつきは、顧客獲得やリピーター獲得の大きな機会損失に直結します。

2. 「見えないクレーム」が増える背景

実際の現場では、目立ったクレームがなくてもお客様が黙って離れていく“サイレントクレーム”が増えていると指摘されています。「なんとなく通いづらい」「もっと感じの良いところがあればそちらに変えよう」…そう思われてしまっては、せっかく築いたお客様との関係も水の泡です。

例:ある店舗のケース

  • 「新しいスタッフがちょっと冷たい印象」「決まり文句の受け答えで心がこもっていない」
    → SNSでの星評価が下がる
    → 新規客・リピーター減少、売上下降

「特に苦情がないから大丈夫」ではなく、“言葉にならない不満” に目を向ける習慣が本当に大切です。

3. 現場任せが引き起こす長期的な影響

接遇の基準を教育せず「阿吽の呼吸」で済ませていると、次第に現場のなあなあムードや、“自分のやり方が一番”という個人主義が強まります。

その結果…

  • 社員・スタッフ間での情報共有が進まない
  • ベテランと新人で接し方がまったく違う
  • 教育担当者が各スタッフに任せきり
  • トラブルに発展しても「なぜ起きたのか」が明確にならない

こうした温床が、組織としての“成長の壁”になってしまうこともあります。

4. 「社内の当たり前」は外では通用しない

内輪だけで「うちはこれで大丈夫」と思い込んでいませんか?業界慣習や職場独特の価値観が、実はお客様やお取引先には伝わらないケースも多々あります。

実例

  • 柔軟な対応ができていないのに「ルール通り」と主張してしまう
  • お客様から見て“なんとなく冷たく感じる”言い回しや態度
  • 社内のおしゃべりが、そのままお客様にも伝わってしまう

研修を行うことで、外部基準に合わせたコミュニケーションの「見直し」が可能になり、意識のアップデートが図れます。

5. SNS時代の「印象リスク」をあなどれない

今や店舗や企業の評判はSNSや口コミサイトで一瞬にして広がります。ひとつの対応ミスが、「感じが悪い」「もう利用しません」という大きな声として拡散してしまうことも。
ネット社会では、たった一人の不快感が大きな信用低下につながるリスクがあるのです。

6. まとめ——「やらない理由」を、一度だけ手放してみる

日頃から「特に問題も起きていないし」「現場のスタッフに任せているから大丈夫」と思われている方こそ、一度だけ自社の接遇レベルを客観的に見直してみてください。ばらつきや油断が、新たなリスクの火種になるかもしれません。

次回は「接遇研修をしない結果、クレームやトラブルがどのように発生し、大きな問題へと発展してしまうのか」について、さらにくわしくご紹介していきます。

札幌の職場内接遇・接遇・ビジネスマナー講師 益子明子

※一部にAI生成画像を使用しています。